減塩は万病のもと。

減塩は万病のもと。 引用元
 
現在では、減塩は健康の代名詞となっているが、つい半世紀程前までは『減塩はむしろ万病の元である』というのが当たり前の認識であった。

◆塩は生命の源
『Salary(=賃金)の語源はラテン語のSal(=塩)』が表しているように、太古より塩は生きるうえで欠かすことのできない貴重品であった。上杉謙信が山間の武田信玄に対し塩を送った逸話からも、塩の大切さは洋の東西を問わず同じである。事実日本では第二次大戦直前にABCD網により海外からの輸入が途絶え、塩の国内生産が追いつかず非常に深刻な「塩不足」から多数の死者を出した。母なる海から生まれた生物にとって塩(ミネラル)は命の原点であり、減塩は命を危険にする万病の元であった。

◆塩が悪者となったのは戦後わずか60年
なぜ現在は減塩=健康となったのか。減塩を推進する理由の一つに、塩分の取りすぎは高血圧を招くという常識がある。この常識は、1954年にルイス・ダール博士により塩分と高血圧の関係を調査した報告書と、1955年にメーネリー博士により行われたラットの実験結果を元にしている。

ダール博士は、日本各地で塩分摂取量と高血圧症を調査し、東北地方において脳卒中や高血圧症が多発しているのは、塩分を多食していることが原因であると報告した。もう一方のメーネリー博士は、10匹のラットに通常の20倍の食塩を6ケ月間与え続け4匹に高血庄症が発症したという実験結果を報告した。人に置き換えれば300グラムの食塩を半年摂取し続ける計算だ。
いずれも非常に偏った見解であり、事実ダール博士はその後、塩と血圧は無関係であると訂正したが、この2つの報告により塩分の過剰摂取は高血圧を招くということが瞬く間に広がり、戦後日本では常識となってしまった。

◆塩の問題は人工食塩にある
減塩は、運動能力や生殖機能、免疫機能など、根本的な本能機能の低下に留まらず、集中力や活力の低下等を招く可能性も示唆されており、『減塩こそ健康』は徐々に常識ではなくなりつつある。
むしろ塩の本当の問題は、ミネラルを含んだ天然塩が戦後失われていったことだ。塩を専売していた専売公社(現在のJT)により、塩は天然塩から大量生産が可能な塩化ナトリウムに変わり、食卓から外食産業、加工品にいたるまで人工食塩が大量消費されてきたことによる。ミネラルを多く含んだ天然塩だからこそ体に良いのは言うまでもない。
命の源である塩、今こそ原点に立ち返る必要がある。

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