ウォーターサーバーに潜むワナ

危惧していたことが*東洋経済オンライン記事に載っていました。

TBSテレビ『この差って何ですか?』取材班

安全なはずのウォーターサーバーに潜むワナ

あなたはバスタオルを毎日洗いますか?

オフィスや病院などの公共施設はもちろん、最近では、家庭でも多く見られるようになったウォーターサーバー。いつでも安心・安全で、かつおいしい水が飲めるということで、読者のなかにも愛用者が多いだろう。

実は、このウォーターサーバーにこれからの季節、菌が増殖する危険性が高いという衝撃の情報をキャッチ! 
これはいったいどういうことなのか?

TBS「この差って何ですか?」(日曜よる7時~次回は8月9日2時間SP)取材班は、衛生微生物研究センター所長の李憲俊さんに話をうかがった。

李さんによれば、「安心・安全なはずのウォーターサーバーの水がなぜ?」という、この思い込み自体がとても危険なのだという。話は単純で、要はきちんとしたメンテナンスをしていないことが雑菌の発生や増殖につながるという。いったいどれぐらいの利用者が定期的なメンテナンスをしているだろうか?

確かに、某メーカーの取扱説明書を見てみると、「注水口が汚れたら、除菌アルコールタオルでよく拭いてください」などと、雑菌の増殖を防ぐための手入れ方法や機器のメンテナンス方法が書いてある。

雑菌は微量な水分があればどこでも増殖すため、無防備なウォーターサーバーの注ぎ口から雑菌が侵入した場合、タンクへと続くパイプの中で増殖する恐れがあるというのだ。

事実、ある調査では、

一定期間メンテナンスがされていないウォーターサーバーでは、1mlあたり5万個以上もの雑菌が見つかったということだが、これは水道水の水質基準を100倍以上こえる数値で、もはや「安全な水」とは程遠い状況になっていたとか。

同様の現象は蛇口に装着する浄水器などでもおこり、メーカーが設定している交換期間を無視して使い続けた場合、きれいな水道水をわざわざ雑菌だらけにしている可能性がある。

日本の水道水の水質基準はとても厳しく設定されており、ある意味、水道水以上に「安全」な水はないという。となれば、家の蛇口から安心・安全な水が出ているのに、わざわざ高いおカネを支払って水を買っているのがバカらしくなってくる。

李さんはこうも続ける。

いま話している「安全な水」とは、あくまでも衛生学的な面から見た「安全」ということで、雑菌が繁殖しないようにするために加えられる塩素などの化学物質をどうとらえるかは、また別の話だという。

さらに、より「自然に近くておいしい」ということをうたった水には、そうした化学処理が施されていない分、ある程度の雑菌は最初から入っていて、それは問題ではないとのこと。

「人がおいしいと感じる水は、雑菌だっておいしいに決まっていますよね」

言われてみれば納得。極端に雑菌を排除することだけにこだわっても仕方がないのかもしれない。

毎日必ず飲む水だから、より安全で、よりおいしいものを……とこだわりたくなるのは当然だが、「買って安心」という考え方は危険というわけ。

お盆のシーズンを迎えるにあたり、ウォーターサーバーの未使用期間が長い時などは、パイプに残った水を捨てて、しっかりとメンテナンスをしてから飲むことがおすすめだ。

そしてさらに、口にいれるものには敏感な人でも、意外とずぼらになりがちなのが、風呂上りに使うバスタオル。

バスタオルはどれ位の頻度で洗濯していますか?

取材班が街で調べたところ……

【毎日洗濯する】と答えた人が100人中49人

【2日で洗濯する】と答えた人が15人。そして……

【3日以上は使う】と答えた人がなんと36人!

中には7日以上使うという強者が5人もいた!

「しっかりと体を洗ったあとの水をふくだけだから問題ない」という意見や「1日で取り換えるのはもったいない」などという意見が聞かれたが……洗いたてのバスタオルと、3日以上使ったバスタオルではいったいどれ位の菌の差があるのか? 取材班は改めて李さんに実験を依頼した。

まず、洗濯したてのバスタオルを調べると……10センチ四方あたりおよそ500個の菌がいた。バスタオル全体に換算すると、およそ2万5000個の雑菌がいたことになる。

李氏によれば、洗濯したてでもこれぐらいはいるのが当たり前で、特に人体にも影響なく問題ないとのこと。

そしてこれを、実際に風呂上りのスタッフが毎日使い、24時間ごとに雑菌の数を調べてもらったところ……

【1日後】10センチ四方あたり約40万個、洗濯したての状況からおよそ800倍

【3日後】10センチ四方あたり約1100万個、洗濯したての状況からおよそ2万倍

【7日後】10センチ四方あたり約3000万個、洗濯したての状況からおよそ6万倍

という衝撃の実験結果に。
綺麗に洗ったはずの体でも、タオルには垢や皮脂が付着するため、これらを栄養源として雑菌は爆発的に増殖するというわけ。しかし街頭調査では、3日以上使うという人も多数いたが、これは人体に影響はないのだろうか?

李氏曰く、このバスタオルで繁殖している雑菌の多くは「皮膚常在菌」と呼ばれる、もともとわれわれの体に存在している菌のため、これ自体は健康な人であればとくに問題はないとのこと。

ただし、体力や免疫が低下していると、ちょっとした傷口でも膿んでしまったり、ニキビが悪化したりするうえ、特にそうした心配がない人でも、雑菌がある一定量をこえると体臭の原因にもなるため、やはりバスタオルは毎日洗濯するべきだという。

本格的な夏を迎え、一層菌の対策に気をつけたいこの季節。ウォーターサーバーやバスタオルに限らないが、洗浄しないで使い続けるのがいちばんよくないことを覚えておきたい。

水